不眠症が改善するまでのお話(続き)

※前回の「友人が不眠症になったお話」からの続きです。

でもって、前回の記事に書いたような、精神生理性不眠症の原因となる潜在意識の問題を友人に簡単に説明して、エミール・クーエさんの自己暗示法を解説した名著『自己暗示』と、自己暗示をするのに使えそうな装置(脳波矯正用磁気発生器)を貸すことにしました。昔々この装置をブログで紹介した記事にも書いたのですが、これを使うと起きているのでもなければ寝ているのでもない、うつらうつらした中間の意識状態(変性意識状態)を意識的に作ることが容易になるのは分かっていたので、それを使って効率よく自己暗示をすることと、好きな時に自己暗示を行うように友人に勧めたのです。もちろん装置がなかったとしても、寝入りばなと寝起きのときに行えば自己暗示はできますし、なるべく同じ時間に規則的にやるのがベストなのですが、友人のようなタイプの人は、この時間にやって!と限定されると意識し過ぎて上手くいかなくなる可能性があります。そこで、ダメならいくらでもやり直せばいいだけ、そして好きな時にいつでもやれる、と思わせる(実際そうですが)ために、特に装置を貸してみたわけですね。

その際に装置の具体的な使い方として、

・快適な姿勢をとって、コイルを頭にはめて電源オン。
・ゆっくり呼吸をしながら、全身の力が抜けているのを実感。
・しばらくして頭がホゲ~ッ♪としてきたら、静かに自己暗示を繰り返す。
・時間は15分くらいやれ。絶対眠るなよ?
・就寝時以外は、そのまま眠らないように必ずアラームをセットし、暗示が終わったら必ず肩回しや膝の屈伸などをして意識を切り替える。
・あとは自分でより良いと思ったように自由にやって。


この程度でしたか。暗示の文句も「私は布団に入るとリラックスして、どんどん眠くなる」「私は毎日ぐっすり熟睡している」のようなものを伝えたのですが、すぐに自分なりに考えた暗示の文句に変えたそうです。

渡した当初は正直、どうせやらないだろうなと思っていたのですが、これが意外に使ったんですね。あとから知ったことですが、試しにと使い始めた当日から変化を感じたそうで、これはいけるんじゃないか?と思ったことから毎日やり続けたそうです。

ちなみに友人はそれから1年以上も暗示し続けて、ようやく問題なく眠れるようになったと納得できるようになっています。時間が掛かっていますね。あとで書きますが、途中で油断した時期があったことも、長くなった原因のひとつだと思います。クーエさんの本では、一発の暗示で驚異的な治療効果を出した話がたくさん載っていますが、訳者のあとがきにあるように、普通はそんな簡単に潜在意識の問題は解決しないと思います。友人のように焦らず、時間を掛けてじっくり取り組む必要があります。


はいでは次に、実際に装置を使って自己暗示を続けた上で、友人が気がついたコツをまとめて書いておきたいと思います。


・自己暗示をするには、ほとんど寝ているような状態が1番、効果的だと感じる。
慣れてくると、うつらうつらした変性意識状態をコントロールして暗示できるのですが、慣れないうちは暗示ができないほどに意識が落ちる…要は眠ってしまうことも多々あります。そこまででなくても、例えば、
「私は布団に入ると、とてもリラックスし、どんどん眠くなる。いつの間にか熟睡している」
と暗示するべきところを、
「私は布団に………西側の大理石に沿って……トマトソースの中身を…………」
などと意味不明な言葉を発していたり、あるいは気がつくと口をモグモグさせて、何か食べていたりすることもあったそうで、意識が落ち過ぎて暗示ができなくなっていたことも、しばしばあったそうです。暗示ができないのは困りますが、逆に言うと、これくらい夢うつつ、覚醒度がギリギリまで下がっている状態が、暗示には良いと感じるそうです。普段の意識に近ければ近いほど、暗示をしたときの抵抗が大きくなりやすく、抵抗があるということは、その暗示が効きにくいだけでなく、逆に状況を悪化させてしまうこともあります。だから暗示をするときの意識状態がとても大切なんですね。

・暗示文の文体はポジティブな表現を使い、そうなりたい、そうなってほしい、という希望ではなく、すでにそうなりつつある、あるいは、すでにそうなっている、という進行形や完了形にする。
これはよく言われる注意点です。ただ、これもポジティブで完了形であれば何でもかんでも全てOK、というわけではないようで、例えば友人の経験で「朝まで熟睡している」という言葉を暗示に入れると、なぜか起床時間の1時間前に目が覚めることが異常に多くなり、「ぐっすり熟睡している」という暗示だと中途覚醒が少なくなり、朝のアラームが鳴るまで眠れることが増えたそうです。
「朝」という単語が何かしら、本人の潜在意識に働きかけているようですが、とにかく暗示文の一言の違いで、結果が変わってくることもあるという例です。なので実際に経験しながら、より良い暗示文を探して変えていくことも必要です。

・暗示をする際には言葉を強調したり、繰り返したり、そこに感情を込めるようにする。
「布団に入ると、とても安心して…」「ぐっすりと」「どんどん眠くなる」という暗示なら、規則的に淡々と唱えるよりも、ぇ~~~も安心して、っっっっすりと、と言葉に感情を込めたり、どんどん↑どんどん↑…と繰り返しで強調したり、その言葉がさも本当であるかのような気持ちになるのがコツだそうです。
この時も大切なのは変性意識状態に入っていることです。暗示を言葉に出したときに、何かしっくりこない感覚とか、ん~本当にこれでいいのかなぁ?という微妙な感じ、あるいは直球で、こんなことやって意味あんのか?なんかアホらしくね??みたいな感じがするときは、変性意識状態に入っていない証拠なので、その暗示は効きにくいです。変性意識状態に入って正しく暗示すれば、疑うこともなく抵抗を感じることもなく、すんなり言葉が入ってきます。

・暗示の効果が出て症状が改善しても、すぐに暗示をやめない。
これは記事の上の方で、友人が途中で油断した時期が…と書いたことに繋がります。友人は3カ月ほど暗示を続けた結果、眠るときにほとんど不安を覚えないほど改善したため、段々暗示の時間が短く、いい加減になっていき、1日2回続けていた暗示は夜の1回に、それもほんの2~3回暗示するだけで面倒臭くなってやめて、そのまま眠る、という状態になっていたそうです。
しばらくは良かったそうですが、ある日、何かのトラブルで興奮していたのと、寝る時間がいつもより遅くなったことが重なった時に、あれ?なんか眠れなさそう…と、ふと感じたら、懐かしい感じ(交感神経の異常興奮)にまた襲われ、その日は真夜中まで眠れなかったそうです(それでも眠れたようなので以前に比べればマシだと思いますが)。その日を境に就寝時にまた以前のような不安に襲われ始めたそうです。その後2~3日は横になっても2~3時間、眠れない日が続いた為、不眠が再発してしまったかと相当焦ったそうですが、実際は以前のようにしっかり暗示を行うようにしたところ、それ以降は特に問題もなく、また眠れるようになった、とのことです。


友人が自己暗示のコツとして挙げてくれたのは以上です。
ついでに私からいくつか補足をしておきます。記事を公開した当初、書き忘れていたこともあるので追加しておきます。

ひとつは不安や恐れの受け取り方ですね。
心は本来、ひとつの事柄に縛られることはなくて、あれを考えこれを考え、コロコロコロコロ移り変わるのが自然です。一回でも強い不安や恐怖を体験すると、そこに意識が凝り固まって、心が不安や恐怖に縛られてしまいます。「今日も眠れないかも…」と不安に思ったときは、もう心が縛られ始めているわけですね。でも縛られるなと言っても縛られてしまうから困るわけです。不眠改善のアドバイスにも、眠れないからと焦らないように、とよく言われますが、焦らないようにしよう!と思って、すぐにそれができる人なら始めから不眠症にはならないです。それにエミール・クーエさんの努力逆転の法則どおり、想像力(焦る心)に反すること(焦らないようにしようとする意志)を成し遂げようとしても、想像力が勝ってしまって、なおさら上手くいきません。
ですから、焦らないようにとか、不安にならないように、なんて考える必要はま~ったくなくて、不安を感じたら不安を感じるままに、
「あぁ、私は今すっごい不安を感じてるな」
焦って心臓がドクドクしてきたら、
「あぁ、私は今、交感神経がバッキバキに興奮してきているな」
と自分自身をモニターして、それを何とかしようとか、それじゃ眠れないぞとか、そうではなくて、
「ハイハイ。いつものことですよ、いつものことだから仕方ない仕方ない。どうぞ気が済むまで勝手にやってください」
と軽く受け流すようなフリをしていくと良いと思います。もちろん最初はなかなか受け流せないと思いますが、いちいち余計な努力などしなくても、自己暗示が深まるにつれて“フリ”だったものが、実際に受け流せている(不安や恐れではなく別のことを考え始めている、つまり心が縛られなくなっていく)ことに気がつき、そして受け流せるにしたがって、感じる不安や恐れが弱くなっていくことに気がつくと思います。これは精神生理性不眠症だけでなく、他の社会不安障害なども同じです。

もうひとつは、解決していないトラブルから大きなストレスを抱え、それが原因で不眠症になっている場合は、最初にまず、そのトラブルを解決していくということです。
これは当たり前の話なのですが、例えば旦那や嫁と泥沼離婚劇とか、質の悪い隣人とのトラブルで裁判沙汰とか、急に大きな借金を背負ってしまったとか、極道や反社絡みのトラブルに巻き込まれてしまったとか、とにかく具体的な問題を抱えていて、それが解決していないことによる大きなストレスが原因で不眠症になっている場合は、いくら眠れるように暗示をしても、まずはそのトラブルを解決していかない限り、なかなか状態が改善されていきません。逆に言えば、そのトラブルさえ解決すれば、勝手に眠れるようになる可能性が高いわけですから、こういう場合は自己暗示をするなら不眠ではなく、問題がスムーズに解決していく暗示や、あるいはトラブルから受けるストレスを軽減するような暗示をしながら、とにかく問題解決を優先していく方が良いと思います。
トラブルを抱えていない場合でも、人の言葉に敏感で傷つきやすいとか、すぐに先のことを考えて不安になってしまうとか、短気でちょっとしたことでイライラするとか、ストレスを感じやすい人の場合は、メインとなる暗示の他に補助として、こういった性質を改善する暗示を加えると良いと思います。

追加で注意点をひとつ。
前回の記事の中で、不眠症を改善するために、あれをしたらいい、これをしたらいい、と言われることをやってみても、そのほとんどは眠るための努力に当たるため、エミール・クーエさんの努力逆転の法則どおり、不眠症を改善するどころか逆に酷くしてしまう…みたいなことを書きましたが、ごく当たり前の改善点まで否定しているわけではありません。
ごく当たり前というのは、例えば夜に眠れないという人にたまにいる、
「夜眠れないからといって昼に眠る、昼夜逆転の生活をしている人」
これは努力して昼間に眠らないように改善しなければダメです。いくら自己暗示を行っても、昼間にた~っぷり眠っていたら夜眠れないのは当たり前の話です。もちろん昼夜逆転の生活をしていた人が、いきなり昼間は1秒たりとも眠るな、と言われても最初はなかなか難しいと思いますが、ごく短時間(10~15分程度)の仮眠であれば眠気や疲労を取るには十分で、しかも夜の睡眠には支障をきたさないので、それ以上は眠らないような努力は必要です。

自己暗示のコツはこんなところかな。
では最後に、不眠症の改善の過程も詳しく聞いてあるので、簡単にまとめて書いておきます。


・自己暗示の初日…強いドキドキ(交感神経の異常興奮)はあったものの、2時間くらいで気がついたら朝まで眠っていた。

・1~2ヶ月目まで…同じようにドキドキする感じはあったものの、ほとんどの日で1~2時間くらいで気がつくと眠っていた。ただ夜中に目が覚めてしまうことが多く、一度目を覚ますと2~3時間眠れないこともあったが、暗示を始めて以降、朝方までまったく眠れないということは1日もなくなった。

・3ヶ月目以降…30分~1時間以内に眠れている日がほとんどで、就寝時に強い不安や焦りを感じることもなくなってきた。中途覚醒も少なくなり、まれに目が覚めても、ボケ~ッとしていればまた眠れる。たまに以前のように不安や焦りを感じてドキドキし始めても、そのうちに忘れて収まっている。

※この辺りで自己暗示がいい加減になったことで不眠がぶり返し、再び自己暗示を始める。

・半年目以降…早いときは10分掛からないくらい、遅くても20~30分で眠れるようになる。中途覚醒もほとんどなく(膀胱パンパンで起きることはあり)、不安や恐れ、ドキドキもほとんど感じないか、感じてもすぐに収まる。ストレスなく眠れていたときの状態に戻ってきた感じ。

・1年目以降…半年目以降からは、不眠で悩まされることはまったくなくなったので、不眠に関する暗示を少し減らし、その他の暗示を加えて行っている。ただ、不眠に関する暗示を完全にやめるのは、まだ少々不安を感じるので、その不安が完全に消えるまで暗示は続けるつもり(なので装置は返さない)。


以上、こんな感じですね。
友人の場合は装置の助けもあったので、わりと順調に暗示の効果が出ています。実際はらせん階段を上るように、あっち(改善)に行ったと思ったらこっち(悪化)に、こっちに行ったと思ったらあっちに、を繰り返しながら徐々に上がっていく(改善していく)パターンが多いかと思います。なので、やってみたけど効果がない!と性急に判断しないことが大切です。苦行のようなものではないので、慣れてくれば毎日の暗示も何の苦にもなりません。むしろ、やる度に気分が良くなります。

それと今回はたまたま友人の不眠症で記事を書きましたが、この自己暗示の利用範囲は相当広く、潜在意識の活用全般に使えます。先ほども書きましたが、性格改善にも大きな効果がありますし、病気治療なんかにも利用できます。感情を上手く利用すると願望実現法にも応用できますね。使い方次第です。

最後に、友人に貸した装置の製作依頼をたまにいただきますが、いろいろと問題があって全てお断りしています。
お貸しすることなら可能ですが、善意で遠方の方にお貸ししたら、その後いくら連絡しても一切返事がなくなるという借りパクも経験済み(笑)なので、直接会って身元が分かる方だけに限定させていただきます。あしからず。

不眠症になった友人のお話

※今回は特に新しい装置の紹介などはありません。

これまた少し前の話になりますが、ある日、友人が会話の中で、
「不眠症になって全然、眠れない」
と言うので、こりゃ面白そうだと根掘り葉掘り、詳しく話を聞いたあとに、昔々ブログで紹介した、脳波矯正用磁気発生器を貸すことになりました。ちなみに私は、この装置は仕様が違うものをいくつか持っていますので、友人には以前の記事の参考動画で紹介した周波数固定式ではなく、2~14Hz程度の周波数可変式を渡しました。

渡した後は、あれ使ってんの?使ってるよ~程度の話以外は、特に不眠に関する話もしませんでしたが、それが最近になって
「ようやく治った」
と向こうから話をしてきたので、本当に?じゃ治ったなら記事にさせてと、さらに詳細に話を聞いてみましたので、以下に詳しく書いていきます。

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まず一口に不眠症と言っても色々なタイプがあるようで、私も今回、少し調べてみましたが、友人は
入眠困難(なかなか眠れない・眠るまで時間が掛かる)」

中途覚醒(眠っても夜中に目が覚めてしまい、その後は眠れない)」
の両タイプに当たるようです。

日によって入眠困難だったり、中途覚醒だったりするそうで、私が最初に話を聞いたときは、
「たまに眠れないなんて誰にだってあるんだから、いちいち気にし過ぎなんだよ」
という、相手のことを本気で心配していない人にありがちな反応をすると、
「1週間の合計睡眠時間が10時間ない」
ですって。1日2時間だったとしても1週間で14時間にはなるので、いや、さすがにそりゃ少なすぎだろうと驚いたのを覚えています。
ただ、それがずっと続いているわけではなくて、1週間くらい不眠が続くと、体が限界を迎えるのか、1~2日くらいは6~7時間眠れる日が来て、これから眠れるか!?と期待しだすと、また不眠の生活が戻ってくる、というサイクルのようです。

なぜ不眠症になったのか?その原因ですが、かなり神経質なタイプであるのは私も知っていましたし、元々寝つきが悪かったのに加え、仕事で起床時間が大幅に早くなり生活パターンが変わったことと、しかも絶対に遅れることができないため、大きなプレッシャーが掛かったのが発端だと、本人なりに分析していました。
こういったタイプの不眠を、
『精神生理性不眠症』
と言うそうで、友人のような生真面目で神経質な人がなりやすいようです。

この睡眠時間では、当たり前ですがまったく足りていないので、昼間なんか立ったまま寝落ちすることが何度かあり、日常生活に完全に支障をきたしている状態で、とにかく眠くて眠くて仕方なかったと言います。眠てないんだから当然です。

そんなに眠いなら眠れるでしょ?とか、余計なことを考えなきゃいいのに、とか、不眠症にならないタイプの人は思ってしまうのですが、いざ横になって、さぁ眠よう!と思った瞬間から、心拍数が上がって心臓がドクドクし始め、血圧が一気に上昇してるのが自分でも分かり、それを感じだしたら最後、目はギンギンに冴えわたり、まったく眠気が吹き飛んでしまうそうです。
そして、そのまま起床時刻がどんどん迫って、もう今から眠れたとしても何の意味もない、と言うか、むしろ今、寝ちゃったら逆にしんどいわ!と思い始める頃に眠れたり、あるいは時間が来るまで結局、眠れなかったり、こんな感じが入眠困難の日だそうです。

中途覚醒の日は、布団に入ってすぐに調子よくパタッと眠れるそうですが、1時間ほどで必ず目が覚めてしまい、一度目が覚めたら最後、あとは入眠困難の日と似たような状態になって、まったく眠れず起床時刻になってしまうそうです。

こんな状態が2か月以上続いているのだから、なかなかの重症というか、蓄積していく肉体の疲労はもちろん、眠れないことに対する精神的なプレッシャーも相当しんどかったと思います。

んで一般的な改善方法、つまりネットなどで「不眠 改善」などのキーワードで検索して、見つかるような方法は試したのかい?どうなんだいオイ?という問いには、
「全部やったけど、何ひとつ効果がなかった」
とのことで、全部って何をやったの?話を聞きながらも内容が多過ぎて(面倒臭くなって)記録してませんが、検索して出てくるような↓基本的な改善方法ですね。

・どんなに眠くても昼間は仮眠や昼寝は一切しない
・就寝時間になるまではソファその他で身体を横にしない
・布団(ベッド)は就寝時間以外には入らない
・できるだけ朝日、日光を浴びるようにする
・毎日、適度な運動をする
・布団に入る1時間前から部屋を暗くし、スマホやPCは見ない
・横になる前に柔軟体操をして身体をほぐす
・コーヒーやお茶などは就寝の8時間前から摂取しない
・眠らなければ!と焦らないようにする(そう思って出来るなら誰も苦労はしないが)
・入眠用BGM動画(ヒーリングBGMからASMRまで)を聞く
・米兵の90何%が一瞬で眠れるようになったとか何とかのリラックス法を実践する


話を聞いたのはもっと多いですが、とにかくこんなんですね。検索すると素人から専門家の話まで、あーしろこーしろといろいろあります。
友人は神経質な上に人に頼らず自分で努力するタイプなので、これらも徹底的に実行したようです。なんせ上の項目のひとつ、柔軟体操を毎日続けた結果、短期間で前屈(床にお尻をつけて座り、両足を延ばして上半身を前に倒す)が、腰から綺麗にペタッと二つ折りになるほどの柔らかマイスター
でも、それだけやってみても友人曰く、

「眠ることに関しては何ひとつ、まったく効果がなかった」

と言うわけです。
いよいよダメだ!と追い詰められた友人が、自力回復を諦めて病院を探し始めた頃に、ちょうど私と話す機会があって、何ら期待せずにポロッとしゃべったのを、私が面白そうなんで装置を押し付けたというわけですね。

この段階まで話を聞いただけでも、そりゃあ改善しないだろうなとは思いました。うん。
睡眠というのは、意識でコントロールするものじゃないですね。横になろう、目を閉じよう、までは自分の意志で行えますが、あとは勝手に眠るのを待っているだけで、眠るスイッチがあるわけじゃありません(まれにある人もいるようですが)。普通はいつの間にか知らない間に眠っています。これはつまり呼吸や心拍、血圧や内臓の働きと同じように、睡眠は無意識に行われるものであって、自律神経系の働きのように潜在意識がコントロールしている分野だということです。
その潜在意識の働きに問題がある、友人のようなタイプの不眠症の場合は、上記のような改善方法はまったく意味がないどころか、逆に不眠を強めてしまうことすらあるんですね。なぜ意味がなかったり、逆に状態を悪くしてしまうのか?

潜在意識と言えば エミール・クーエさんが有名です。彼が患者の治療経験から導き出した法則に、

☆意志と想像力(感情も含む)が反する場合、勝つのは常に想像力である。
☆意志によって努力すればするほど、反する想像力はより強固なものになる(努力逆転の法則)。


というものがあります。
エミール・クーエさんは19世紀後半に活躍した自己暗示法の大家で、彼の暗示法や上記のような法則を知っている人はたくさんいますが、知らない人のために、友人の不眠症を例に説明します。

まず、意志と想像力を不眠症に当てはめれば、意志とは「早く眠ろう」「どうにかして眠りたい」という意志ですね。
そして想像力とは、「また眠れないかもしれない」「眠れなかったら苦しい、辛い」といった不安や恐れです。
この、眠ろうという意志と、それに相反する、眠れないかもしれないという想像力があるわけですから、法則どおり常に想像力が勝ってしまい、潜在意識は実際に眠れなくなるように身体に働きかけます。それが友人の経験したような、交感神経の異常興奮ですね。普通、睡眠に入るときは副交感神経が優位になるのですが、潜在意識が眠れないように交感神経をガンガンに働かせてしまうので、こうなってしまっては意志の力ではどうしようもありません。

そして先ほど箇条書きで並べた、友人が実践した眠るための改善方法は、これらの大半が「眠るための意志による努力」ですから、ふたつ目の法則どおり、やればやるほど「これでも眠れないかもしれない」「これだけ努力してるのに眠れなかったら…」という反する想像力を無意識のうちに搔き立てて、より強固なものにしてしまいます。
(ただし、こういった改善方法がすべて無駄と言うわけではなくて、本人が「これなら眠れる」と思い込める、つまり眠れないかもしれないという不安や恐れを超える信頼を得られた場合は、意志と想像力が合致するので、眠れるようになります。友人の場合は不安や恐れの方が強かったのですね)

眠りたいという意志と、努力によって、より強固なものになってしまった眠れないという想像力があるわけですから、これらの改善方法は、友人の言うとおり何の意味もなかったどころか、それによって、わざわざ不眠症を酷くしていたというわけです。

普通は友人と同じような状況に陥った場合、多くの人が精神科や心療内科を受診すると思います。友人も実際に病院を調べていたそうですが、どうも気が進まなかったらしいです。その理由は不眠症に関する話をネットで調べれば調べるほど、根本的な治療よりも薬物、つまり手っ取り早く弱い睡眠薬から出されて、そして、それが効かなければ強い睡眠薬へと移行していくだけ、という薬物に依存するだけの流れが予想できたからだそうです。
確かに日本では、この手の心の不調を訴えると安易に薬を出し、治療と称して薬物依存症を作り出しているだけの医師が多いのが現実だそうですし(誤解のないように言っておきますが、認知行動療法などできっちりと根本治療を目指す医師もいます)。
ともかく、薬に依存したくない友人は、必死に自分でやれる努力をして(それが不眠症を酷くするとは思わず)、なかなか受診しなかったのです。結果的にはそれがよかったのですが、実際問題として酷い不眠症になってしまったら、その苦しさから医者と薬を頼らざるをえないのが現状だと思います。

こういった精神生理性不眠症や、社会不安障害なんかもそうですが、なってほしくないと思うとなってしまう、嫌だと思うとなってしまう、ダメだと思うとなってしまう系の疾患は、要は自分の意志と反する潜在意識の発動が原因ですから、意志と潜在意識を協調させてやることが最善の方法になるわけです。
協調させる方法というのは簡単で、顕在意識(普段の意識状態)の活動が抑えられて、意識的な抵抗の少ない状態のときに、潜在意識を書き換えるための自己暗示を繰り返すだけです。クーエさんの自己暗示では、「寝入りばな」と「寝起き」の時間の2回、静かに声に出して自己暗示を行います。寝入りばなと寝起きは、先ほど言ったように顕在意識の活動が抑えられ、抵抗なく潜在意識が暗示を受け入れやすい状況になるからですね。


さて、長くなりましたが、以上のような潜在意識の作用を友人に説明した後、試しに脳波矯正用磁気発生器も貸してみることにしました。次回は実際に装置や自己暗示を続けた友人の改善していく過程や、暗示のコツなども聞いておきましたので、それも参考に記事にしてみたいと思います。
バイバイキ~ン('ω')ノ

※友人は治りましたが、特に酷い不眠症や精神的な障害に苦しんでいる人の場合は、安易に自己流で治療せずに、専門家に頼ることも必要だと思います。この記事も参考程度にされてください。

プロフィール

TBar Row

Author:TBar Row
怪しげな装置の自作とウエイトトレーニングが好きです。
プロフ写真はamira_aさんからお借りしました。
メール ins_herua@yahoo.co.jp

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